学校歯科健診について

   
   

 春の歯科健診が四月から六月にかけて行われ、むし歯・歯肉炎・歯列・咬合・顎関節などの診査をします。
むし歯については、以前は早期発見・早期治療で、治療が中心でした。しかし、現在では早期発見・早期予防といわれ、学校健診が大変重視されています。
 また、歯肉炎に関しては、将来歯を失うような重症の歯周病にならないために、初期の段階(中高生)で見つけて治療することが大切だといわれています。
 これから、中学校と高等学校の健診を通して気がついたことをお話します。
 歯科健診とは現在の健診はふるい分け(スクリーニング)診査といいます。この診査は多くの生徒の中から治療を必要とする人と観察を必要とする人を見つけ出すもので、病気の診断が目的ではありません。
実際には、健診は限られた場所(保健室)と時間の中で行われます。健診するには専門的な設備もなく、一人当たり短時間で診なくてはなりません。そこで、まずふるい分けの診査になるのです。
 健診の実際紙面の都台でむし歯についてだけお話します。
先ほどの状態で健診しますから、見落としも出てしまいます。とくに生徒の上あごの奥歯は見にくいので発見率が他の部位より落ちます。それから歯と歯の問のむし歯なども、かなり進んで大きくならないと発見できにくいので見落としがちです。
このように治療が必要な歯すべてを、健診で見つけることは難しいのです。
しかし、比較的見やすい前歯や下の奥歯にできたむし歯や白濁などは見つけやすく発見率が高くなります。
この白濁は聞き慣れない言葉でしょうが、これが若い人に多く見られるようになりました。それから、咬む面にはむし歯がないのに、唇側(くちびる側)にこれができている生徒も見かけられるようになりました。
白濁は主に歯肉近くのエナメル質表面にでさる初期のむし歯です。原因の一つにむやみな間食やペットボトル飲料の多飲があります。水晶ほどの硬いエナメル質の表面が、プラーク中の酸によって溶かされて、軽石のようにスカスカになってしまいます。しかし初期の内でしたら、適切な処置をすれば、睡液中のカルシウムイオンなどがエナメル質へ取り込まれ自然に治ります。これを再石灰化といいます。ただし、この治療には歯科医院で清掃指導を受けて、正確にプラークを除去することが必要です。とくに、砂糖の摂取は控えなくてはいけません。
 隣接面(歯と歯の間)にできた初期のむし歯でも同様な再石灰化が起こります。この場合にはデンタルフロスによる清掃が欠かせません。
 その他に大臼歯で、初期のむし歯に見えるのに、レントゲン写真を撮ると歯の中で大きくむし歯が進み、神経にまでとどきそうで、びっくりさせられることがあります。この歯のような状態は、健診では分かりません。
 また、このような歯でも注意深く治療すれば、神経を取らずに済ませることができます。
むし歯を歯科健診で早期に発見することが、大切だとお話してきました。
 しかし実際にはまだ充分にそれが、できているとはいえません。
 そこでたとえ「歯科健診のお知らせ」に健康と書かれていても日頃の注意を怠らず、歯科医院で、定期的な健診を受けることを勧めます。(鎌倉市歯科医師会 山田宗 山田歯科医院)