「顎関節症」について

   
       
   

現代人に広がる顎関節症

  大きく口が開けられない、開け閉めの時アゴが痛い、カクカク音がする、 うまく噛めない……
こんな症状を主訴とするのが「顎関節症」です。
 従来から、20歳代、40歳代の女性に多く見られた疾患ですが、このところ男女を問わず、 また年齢は低下し、小中学生から見られるようになりました。  原因はかみ合わせの不調や、過度のストレスなどと言われていますが、 現代人の顎が急速に小さくなりつつあることも、背景として見逃せません。
 そもそも「関節」とは、骨と骨が動きやすいように連結している部分のことで、出っ張り(関節突起)が受け皿(関節高)にはまり込む構造になっており、 骨同士が直接こすれ合わないように、間にクッション(関節円板)が入っています。
わかりやすく言えば、ゴムでできた座布団のイメージ、でしょうか。
 顎関節症では多くの場合、このクッションが本来の位置からずれることによって、 前述のようなさまざまな症状が出現します。したがって治療法としては、クッションを 元の位置に戻してやれば良いわけです。


顎関節症の対処法


  まずご自分でできるのが、顎の体操です。下の顎を少し「受け口」のように 前へ出した状態で、ゆっくりと口を開け閉めしてみてください。
音や痛みが出ないことを確認し、さらに鏡の前で下の顎が真っ直ぐ上下するように努力すると、なお効果的です。1セット20回、一日3セットくらいがお勧めです。
 また、顎の筋肉の過緊張をほぐすため、マッサージも有効です。  両顎やこめかみのあたりを、両手の親指の付け根でゆっくりと押しつけながら回転させます。  特に風呂上がりが効果的と言われています。
  これで改善しなければ、かかりつけの歯科医院にご相談下さい。 診査の結果、必要があれば治療用のマウスピースを作成し、歯に装着した状態で、夜眠って いただきます。  顎の位置を若干前方にずらし、同時に筋肉の過緊張を無意識のうちに解除するのが狙いです。

ストレスの解消も大切

  治療効果が現れる時期には差があり、通常2〜3か月はマウスピースを調整しながら経過を観察することになります。  痛みや開口障害は比較的早く改善しますが、音はなかなか消えないこともあります。
 治療のみならず、ご自身でストレスを軽くする工夫も大切です。 中高年の顎関節症では、かなりの割合でストレスが原因との調査結果もあるようです。  長時間同じ姿勢の仕事や精神的な疲労感に対しては、体操や気分転換などで改善を図り、まずは全身の緊張を取ることが肝要です。
 顎関節症は「現代病」と言われています。  ストレス増加が問題なのか、それとも人体の適応力(自動調節機能)が減退しているのか。 そんな文明の発達と身体の衰弱との関係について思いを馳せながら、意識的にコキコキと 顎関節を鳴らしつつ、筆者はこの原稿を書いているのです。
(鎌倉市歯科師会 小林 晋一郎 こばやし歯科)