イオン飲料と虫歯

   
   

 

近年、小児のむし歯は確実に減少してきています。
これは養育者などの口腔保健に対する関心が高まった結果と考えられますが、ここにきて新たな問題が発生しています。小児は口腔管理の良いグループと悪いグループに大別され、悪いほうのグル
ープでは本来むし歯になりにくい下の前歯がむし歯になってしまっているのが見られます。この傾向は乳幼児だけではな<学童にも認められています。
この原因の一つとしてイオン飲料の与え方、飲み方が関係していると考えられています。そこでイオン飲料の飲ませ方の間題点と対策について述べたいと思います。

1 乳幼児とイオン飲科

 多くのお母さんは市販されているイオン飲料は体に良いと考えています。汗をかいたときや、入浴後、のどの渇いたときに積極的に与える傾向があります。
  普通の食事をしている乳幼児にイオン飲料を与えると、電解質が多くなりのどが渇いてしまいます。その結果イオン飲料を絶えず飲んでいなければならない状態になりやすいし、
またイオン飲料は糖分の濃度が高いので習慣化する傾向があります。イオン飲料のphは3.6〜4.6と酸性で、ph5.4以下では歯のエナメル質の脱灰が起こりやすくむし歯になりやすいこと
などにより、イオン飲料が絶えず口の中に残存するとむし歯の原因となります。夜寝る前や、夜中にこれを与えるとますますこの傾向を助長します。
  もう一つの問題として下痢や嘔吐で小児科医を受診したときに、医師から市販のイオン飲料を薦められることがあります。しかし脱水が改善した後はイオン飲料による水分補給
は必要ないという指導はほとんど受けておりません。そのため、親はイオン飲料を水代わりにいくら与えても体に良い飲み物と思うばかりでなく、子供も欲しがるので、積極的に与え、
習慣化してしまいます。
  イオン飲料を多く与えることは肥満の原因となるばかりてはなく、食欲不振など全身に悪影響を与える恐れもあります。

2学童とイオン飲料(スポーツドリンク)
  いろいろなスポーツで汗をかいたとき、イオン飲料(スポーツドリンク)、を飲むことが薦められています。これがきっかけとなりイオン飲料のペットボトルを持ち歩き、だらだら飲みの習
慣がついてしまいます。
  この結果、乳歯と同じ理由で生えて間もない永久歯がむし歯になりやすくなります。
  学童の場合は自分で好きなだけ買えるので、むし歯だけでなく肥満の原因ともなります。さらに肥満の学童の耐糖能を障害し、糖尿病に気づかないで多飲するとケトアシドーシスや
昏睡となるペットボトル症侯群になる危険があります。

3対策
・過激な運動や極端に汗をかいたとき以外は、イオン飲料を薄めるか普通の水を与える。
・イオン飲料を水の代わりに飲用しない。
・下痢や嘔吐でイオン飲料を飲ませたときは症状が軽くなったら中止する。
・のどが渇いたら普通の水を飲ませる。
・寝る前や寝ながらイオン飲料を与えないようにする。夜中にのどが渇いたら水を与える。
・入浴後は水を飲ませる。
・いつもイオン飲料水のペットボトルを持ち歩いたり、食事をしながら飲む習慣をつけないようにする。

【参考資料】 日本小児歯科学会雑誌                鎌倉市歯科医師会   槙本光 (エンゼルファミリー歯科)