金について

   
   

  金と言えば、何を思いつくでしょうか。才リンピツクの金メダル、金貨、金の延べ棒、京都の金閣寺など様々なものがあげられると思います。
  有史以来、金は最も価値のある金属と考えられてきました。
金は原子番号79の元素で、柔らかく、延展性があり、黄金色をしています。
その性質は、化学的にきわめて安定しており、熱、酸素、湿度、その他ほとんどの化学的腐食に対して、非常に強いのが特徴です。そのため、貨幣の材料や装飾品として用いられてきました。また、歯科においても、古くより金が使われてきました。
  人類がこれまでに掘り出した金は、約14万トン、地下埋蔵量は、約6〜7万トンと言われています。
  マルコポー口の「東方見聞録」で、『黄金の国、ジパング』と称されたように、日本でも、かつては金を産出していました。しかし、江戸時代以降、国内の金の採掘量は徐々に減少し、現在は閉山したところが多いです。例えば、有名な佐渡金山は、平成元年に採掘をやめて、観光施設となっています。
  先に述べた金の性質の中でも、延展性、つまり薄く延ばすことができるということで、金箔が知られています。金箔の薄さは、約0.1〜0.2ミクロン(一万分の1〜2ミリ)、1グラムの金は、糸状にすると、約3キロメートルの長さに延ばすことができます。 金箔は、工芸品、仏壇など広く使われていますが、有名なのは、冒頭にあげた金閣寺でしょう。
また、食品用金箔があって、料理にも使われます。(食べても安全です。)
  金は、非常に柔らかい物質であるため、通常は、他の金属との合金として使用されます。
金の含有する割合を示すため、カラット(Kまたは金)で表示します。純金は24カラット、または24K(金)と表し、金の含有率が少なくなるに従って、数字が小さくなります。
 歯科で金を使う理由ですが、@歯科材料としての十分な強度がある、A酸化・腐食せず化学的安定性がある、B金は最も加工しやすい金属であり、精密さを要求される歯科治療に最適である、C金属味がしない、等の長所があります。
短所としては、@高価である、A審美性の問題、などがあります。
 近年は、審美治療ということで、できるだけ金属を使わない歯科治療もあるのですが、適応が限られること(咬み合わせに問題があるケースは、適応でない)、長期にわたる耐久性・信頼性では、金合金を使用したものに、かなわないと考えます。
前歯などは、セラミックなど、歯と同じ色の材料を金に接着させて、金属が、見えないようにします。
  歯科用の金合金は金と白金族(白金、パラジウムなど)を含めて75%以上、つまり18K(金)以上のものが望ましいとされています。75%以上であれば、口腔内での化学的安定性は保証される。逆に言えば、75%未満では、化学的安定性は、保証されないということです。
  金の黄金色は、空気中においても、水中においても永遠に変わりません。
この性質があればこそ、人類はアトランティスの時代から金を尊重し、愛好し続けてきたのです。

参考文献 「金を科学する」酉村文夫 日本歯科医師会雑誌1997年9月号                    (木村 典由 木典歯科)