歯科領域における金属アレルギー

   
   

 アレルギーは生体の防御反応の現れです。生体に「抗原」(細菌、ウイルス、異物など)が侵入すると、防御の働きをする「抗体」が生成されます。この一連の反応を「免疫」と呼び、アレルギーは生体を防御する免疫反応の一種です。
  免疫には、先天的に備わっている「自然免疫」と、後天的に獲得する「獲得免疫」があり、次のような違いがあります。

自然免疫とは
@生体が先天的に持つ抵抗力
A生体に備わっている非特異的防御システム
B雑菌(弱い菌)はこれによって排除される
C獲得免疫が出来るまでの間、細菌、ウイルスなどの増殖を防ぐ

一方、獲得免疫とは
@自然免疫によって排除出来なかった外来物質に対して防御機構として働く
A生体に侵入した病原体に対する特異的反応であり、一度感染した感染症に対して特異的な免疫状態を維持する
B再度生体に侵入してきた病原体に対して免疫反応として働く

 

 これらの生体防御システムが、生体にとって過剰な防御反応を生じさせてしまうときこれをアレルギー反応と呼ぶのです。


検査によって、アレルギーの抗原を判定

アレルギーの抗原には、
@吸入性、A食餌性、B細菌性、C薬物性、D接触性、E化学物質性などがあります。
  口腔内の症状では、舌炎、舌痛症、白板症、口内淡、歯肉炎、口唇炎、扁平苔癬など、口腔外の症状では、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、慢性湿疹、掌蹠膿胞症などがあり、口腔外に多<現れます。金属アレルギーの検査方法としては、パッチテスト(検査用絆創膏)、X線マイクロアナライザーEPMA、蛍光線分析などの検査方法があります。
  口腔内の金属分析は、目的とする金属修復物表面を擦過し、表面に付着した金属粒子の分析を行えば、保有金属の種類を判明でき、抗原金属の判定ができます。
パッチテスト法では、検査用絆創膏にパッチテスト試薬用金属を一滴染み込ませて患者さんの背中または腕に張り、48時間後に絆創膏をはがして、二日後、三日後、一週間後の三回金属反応の有無を確認します。パッチテスト用金属試薬としては、現在、金、銀、銅、パラジウムなど18種類があります。


問診による、十分な鑑別診断も重要

 以上に挙げました方法により、歯科領域における金属アレルギーの原因となる抗原を検出致します。最も大切なのは、金属アレルギーであるか、他のアレルギーであるのか、鑑別診断を十分な問診により行うことが重要です。それには患者さんの生活環境、職種、食生活、趣味、趣向品、病歴、アレルギー発症時の様子などの詳しいデータを基にした判断が必要になります。また、金属アレルギーを専門としている科のある医療機関への確定診断の依頼を行うことも必要かと考えます。
また、加工された金属の場合には保有金属が一種類とは限りませんので、保有金属のうちのどれが抗原金属であるのかを知る必要がありますことを付け加えさせていただきます。
                                         (鎌倉市歯科医師会会員 垣 樹 高垣歯科医院)

参考資料
神奈川歯科大学顎口腔機能修復科学歯科
アレルギー外来 澤田智慈先生著書