食育と歯科

   
   

二極化する子供のむし歯

  平成18年度の12歳児のDMFT(D=むし歯、M=むし歯により喪失した歯、F=処置歯)は、1.71本まで下がりました。
  子供たちの口腔環境は、とても良くなり、むし歯が大きく減少したのです。「むし歯予防や歯肉炎予防は、もう充分ではないか?」という声が学校現場で上がってきている所があるようですが、むし歯がほとんどない人と、多数歯にむし歯がある人と、二極化が進んでいるようです。
  むし歯や歯肉炎予防に最も効果的なのは、正しいブラッシングを行うことです。それに加えて、今、「食」の問題が取り上げられてきています。

子供を取り巻く食の課題

  平成17年に「食育基本法」、平成18年には「食育推進基本計画」が制定されました。
  食育とは、「食教育」であり、「食の課題」といえると思います。
  現代の子供を取りまく環境は多様化し、「食」に関する状況は深刻化しているといえます。例えば、朝食の欠食に代表される栄養素摂取の偏りや、食生活の乱れが指摘されています。大人だけでなく、子供にも肥満や生活習慣病の増加が報告されています。また、スタイルを気にするための過度の痩身(やせ)などの問題もあります。
  食の課題は、もちろん全ての年齢に関わっています。その中でも特に子供は、生活習慣が確立されていく時期でもあるので、子供たちの「食」をめぐる状況に対処して、その解決を目指していく取り組みが「食育」です。「食教育」といっても、学校だけで対応できるものではありません。家庭や身近な環境(地元)、そして地域社会との連携が必要になります。


カフェテリア化する家庭の食


  それでは、もう少し詳しく現代の食生活の問題点についてお話しましよう。

問題点としては、
  @朝食の欠食。
 A個食、孤食の習慣。
 B家族揃ってタ食をとる頻度が減少。
 C間食(おやつ)を不規則にとることの増加。
 D間食、食事に甘味のある食品や飲料水の摂取が多い。
 E食べることについての知識や、食べ物を取り扱う技術(調理方法)などを知らない。
 F外食、夜食の割合が多い。そのため、高エネルギー摂取の状態になっている。
 G伝統食料理や地域の物産を活用した料理の減少。
 H好きなものを好きな時に食べる。
 I噛まない、噛めない、よく飲み込めない。

  家族が皆それぞれ忙しい中で、従来の家族での食事の形態が変化して、「家庭」のカフェテリア化が進んでいるようで
す。また、生活の「夜型化」が傾向を加速している、といわれています。


健康的な生活スタイルを

  食生活や生活習慣の乱れに対する課題、目標として、
 @早起きして朝日を浴びる。
 A朝ごはんをきちんと食べる。しっかり噛んで食べる。
 B日中たっぷり活動・運動する。
 C夜ふかしになるので、お昼寝は早めに切り上げる。
 D就寝前の歯みがきなどの入眠儀式を行う。
 Eテレビ・ビデオは時間を決めて遅くまでダラダラ見ない。

  人間の身体には、生体時計があり、その周期を利用して、身体にとって健康的な生活スタイルを取り戻すことです。そのためには、朝の光を浴びて、朝食をしっかり取ることが大事です。朝、昼、夕、間食も含めて規則正しく栄養バランスのとれた内容を食べて、家族とコミュニケーションをとり、会話をしながら、よく噛んで味わって食べることです。好き嫌いをなくして、食事を楽しみましょう。そして、もちろん、食べたら正しくブラッシングすることです。それを心がけて元気に明るく、健やかに毎日を送っていきましょう。

                                    (鎌倉市歯科医師会 細谷真央 真央歯科クリニック)
 参考文献
 ・日本学校歯科医学会誌2007(日本学校歯科医会)
 ・「生きる力」をはぐくむ学校での歯・口の健康つくり(文部科学省)