タバコと歯周病

   
   

 「また禁煙の話か…」と耳が痛い愛煙家の方は多いはず。そういう私も、十年以上前はスパスパと愛煙しておりました。今は一本も吸っておりませんので、私は禁煙成功者かもしれません。しかしタバコというものは不思議なもので、ストレスがたまったり、お酒の席になると、無性に吸いたくなる衝動にかられます。きっと体がニコチンを覚えているんですね。
  昨年、受動喫煙(タバコを吸っている本人ではなく、その煙を二次的に吸うこと)の防止を盛り込んだ「健康増進法」が施行されました。法律になったからといって、喫煙者を追いやることは良くありませんが、喫煙者には是非知っていただきたいことがあります。タバコの煙に含まれる多くの有害物質は、タバコを吸わない周りの人や家族の健康に被害を及ぼすということです。その有害物質は恐ろしいことに、単なる空気清浄機ではガス状物質を除去できないという報告もあります。
  WHO(世界保健機構)では、TFI(タバコフリーイニシアチブ)として最優先課題で取り組んでいます。「タバコは病気の中で、予防可能な最大・単一の原因であるとされています。言い換えれば病気と名の付くものは、いろいろな要因が絡み合って発症しますが、とりあえずタバコをやめればリスクファクター(危険因子)がなくなり、やめた分だけ健康になるということです。
  タバコの健康被害に関しては広く知られるようになったので、タバコと口の健康について話を進めていきたいと思います。まず喫煙すると歯にヤニが付着したり、口臭の原因にもなります。さらに口の中はタバコの影響が出る最初の器官でもあり、口腔・咽頭がんの発生率が非喫煙者と比べて約3倍にもなるといわれています。また、特に歯周病の最大のリスクファクターが喫煙で、治療を行っても進行しやすく治り方が遅くなります。
  煙の中のニコチンは次のような作用を起こします。(1)免疫力の低下-有害物質が口の中の免疫力を低下させるので、歯周病にかかりやすくなる。(2)血管収縮による血流量の減少-歯肉が炎症を起こしても出血しにくくなり、二次的に歯周病が進行する。(3)カルシウムが減少し、歯の周りの骨の吸収速度が速くなる。(4)インプラント(人工歯根)療法や再生療法の妨げになる。
 歯周病は多くの要因が絡みあって発症しますが、逆にいえぱ、予防することもできるのです。まずそのひとつは、歯ブラシに代表されるブラッシングです。プラークコントロールという言葉がありますが、歯周病はバイ才フィルム感染症といわれています。バイオフィルムとは、歯の表面に付着した歯周病原因菌やその他の物質の塊・巣です。それを機械的に除去することが大事なので、3か月ないし半年に一度(個人の病態により異なります)、かかりつけの歯科医を受診されることをお勧めします。
  しかし、むし歯や歯周病を予防するためにしっかりブラッシングしていても、タバコを吸い続けれぱリスクファクターはなくならないので、歯周病は進行します。またタバコは生活習慣病にとっても共通のリスクファクターなので、全身の健康を維持増進するためには、禁煙が最大の手段となります。特に未成年の禁煙指導は有効といえます。今、保健所では、ニコチンパッチによる禁煙をバックアップしていますので、相談してみてはいかがでしょうか。最後にWH0による世界禁煙デー(5月31日)の01年のスローガンを紹介させていただきます。
Second-hand smoke kills,let'clear the air
他人の煙が命を削る。受動喫煙をなくそう!
                                                    島村 泰行(手広デンタルクリニック)