「調和」についてのまとめ

   
       
   

 食物を食べた時に美味しいと感じるのは、見た目や味、匂い、体調や情景にもよりますが、歯ざわりが良いということも重要な要素の一つになります。
  そこで大切になるのが噛み合わせであり、噛み合わせが良くないと何を食べても美味しく食べられずに、食後に満足感を得られません。
  心地好い食感を得られるには、有歯顎、無歯顎を問わず、噛み合わせの調和が取れていることが大切でありますが、調和の取れた噛み合わせを得られる治療法については、以前(※)に記述しておりますのでここでは省略致します。

  それでは何故、調和が大切なのかについて考えますと、人間は機械とは異なり、ビスや溶接で固定されている箇所が人体のどこにも無いからです。
  頭蓋骨は骨縫合によって組み合わせられており、他の部位は筋繊維や軟組織により維持され、歯牙もまた、歯槽骨と歯根との間にある歯根膜という筋繊維により維持されておりますので、人体は各部位と全体の調和によって構成されていると言えます。
  なんらかの原因により、身体のどこかに異状を生じると、その部位に生じた調和の乱れが原因となって、他の部位にも調和の乱れを引き起こし、体調の不良を感じるようになります。また、余病を引き起こす誘因ともなりかねません。
  それゆえに、調和を乱す疾患は、早期において治療しておくことが大切であり、さらには病にかからぬよう予防することが大切です。特に、歯科領域における疾患においては日常における口腔内の清掃が大切で、個人個人に適した歯磨きを行うことが最も効果的です。
  毎日歯磨きををしているのにむし歯になるのは何故?という質問もあるでしよう。確かに歯磨きをしてはおられると思います。しかし、歯磨きをしているのと、歯磨きができているのとでは、まったく違うのです。
  毎日きちんと歯磨きをしているとおっしゃる方の歯垢染め出しを行ってみると、磨き残した部分をたくさん見受けます。磨き残しを無くす最も良い方法は、歯科医院において個人個人における適切な歯磨きの仕方を実際に習得していただくことによります。
  また、歯磨きだけでは除去できぬバイオフィルムは、歯科医院において定期的にスケーリングを行い、除去してもらうことが大切です。
  個人個人に適した口腔内清掃法による疾病の予防が、身体の調和を維持するために大切であると同様に、個人が日常において身体の調和を維持するよう心掛けることが、食事を美味しいと感じ、毎日を健康に過ごして行くことにつながると思います。
  余談になりますが、疾病の治療で大切なのは、何故、どうしてという疑問であり、過剰な心配は何の役にも立たぬばかりか、多くの場合にかえって悪い結果を招くようになります。疾病の治療においては、疑問を問い、過剰な疑心を基に問わぬことが、より良い結果に導くことを忘れないでいただきたいと思います。       ※平成18年2月15日号に掲載
                                            (鎌倉市歯科師会 高垣樹 高垣歯科医院)