指しゃぶりと歯並び

   
   

 幼児の指しゃぶりは、新生児からある吸啜反射(口に触れると吸い付く反応)とそれに続く口腔習癖としてよく見られるものです。
 1970年代の初頭に有名なアメリカの雑誌「Time」の表紙に、胎児が指しゃぶりをしている写真が掲載されて話題になりましたが、お腹の中にいる時から指をしゃぶり、生まれてからは、お腹が空いたときだけでなく、心を満たす必要があるときには、指をしゃぶることにより安心感(満足感)を得ているようです。 そのため、指しゃぶりだけではなく、つめ咬み、口唇癖(唇をかんだり、触ったり)、布などを吸ったりなどの口唇周囲に触れることが好まれるようです。 これらを口腔習癖と言います。
 3歳ぐらいまで指しゃぶりをすることは発育の過程で正常と言われており、歯並びに影響があるときもありますが余り心配ありません。 十分お腹が満たされ、心も満たされていれば、自然に指しゃぷりはなくなると言われています。
  3歳以上になっても指しゃぶりが続いている場合、理由が2つ考えられます。  1つは3年以上続けているわけですから癖になってしまったとき。  1つは情操の発達に不足があるとき(心が十分に満たされていないとき)です。

指しゃぶりを長<続けると歯並びにどのような悪影響があるのでしょうか。

 口の中に長く指が入っていることで、下の前歯は下に押され、上の前歯は前に押し出され、上下の歯を咬み合わせても前歯は指の形に開いてしまい咬み合いません。このような咬み合わせを開咬といいます。
このような歯並びは5歳くらいまでに指しゃぶりを治せば、永久歯に生え変わるときに自然に改善されることがあります。
 5歳以上になっても指しゃぶりを続けていると、上顎の歯列が前歯の部分が前に引っ張られた形になり、半円形からV字形に変形します。 このような変形は上唇の突出、開咬となり自然治癒は難しくなります。
又、長く指しゃぶりを続けていると指の爪がふやけて変形することがあります。 指しゃぶりは長く続けて良いことはありません。

指しゃぶりを卒業するにはどうしたらよいのでしょうか。

 単なる癖と考えられるときは十分外遊びをし、お腹いっぱいにご飯を食べ、指しゃぶりは歯並びが悪くなることをよく話し、頑張って指しゃぶりを止めればご褒美を上げると約束し、励ます。周りにいる大人が絶えず勇気づけ励ますことにより比較的簡単に卒業するでしょう。
 心が十分に満たされていないときとは、兄弟の一番上で2歳くらいでお兄ちゃん、お姉ちゃんとなりまだ甘えたいのに十分甘えられない、3歳くらいまでの必要なスキンシップが十分得られなかったとき、などが考えられます。
 この場合はまず十分にスキンシップ(抱っこ、おんぶ)をし、心を十分に満たしてから前述の方法を試みてください。
                                        (鎌倉市歯科医師会 槙本 光 エンゼルファミリー歯科)